(きみを)愛してもカネにはならない

妊娠して以来、夫とひたすら、思春期みたいな恋愛をしている。

暇さえあればチュッチュして、息子の寝かしつけで電気切った瞬間から二人でゴソゴソしているという感じで、息子の教育に悪いよね〜とも思うんだけど、

まあ別に息子の目の前でセックスしてるわけでもないしな〜。喧嘩してるよりはマシだよね〜と自分で自分に言い聞かせる日々。

 

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妊娠後は、見捨てられ不安もひどいし、他者への期待値もガンガン上がっている。

誰かれ構わず甘えたくなるし、10代の頃の自分に逆戻りしたような感覚。

生きづらさ/生きやすさの観点で言えば、

正直なところ、圧倒的に生きづらい。

以前は、夜19時に寝て、朝の4時ごろに行動を開始して、資格の勉強をするなどしていたのだけれども、その時間を丸ごと全て夫とのコミュニケーションに費やしている。

結構やばいよね。7月頭に妊娠がわかって、あと1ヶ月もしないうちに30歳になるのに、29歳で何一つ悪あがきをしなかった。あらまあという感じ。

あっ、ライティングをした本は11月末に発売される。よかったねえ・・・でもそれだけだねえ・・・。

つわりで吐きながら、メンタルも落ちに落ちてる状態で書いたので、なんとかなって本当によかった。

 

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しかしまあ、メンヘラ恋愛をする感覚、めちゃくちゃ気持ちがいいので笑ってしまう。

仕事ができなくても、友達がいなくても、とにかく夫に「かわいい」「だいすき」「一生一緒にいようね」と言われるだけで世界がオールオッケーになる感覚。完全にセカイ系。

まあこれは、自己肯定感が下がっていることも一因なんだ。妊娠していると「とりあえずキャリアを止めないこと」が最優先事項になってしまうから……。

夫から愛されることで、自己肯定感を補完しようとしているんだろうな。

しかし、夫は仕事が順調なのに、メンヘラ妊婦の私が満足のいくような愛情を返してくれるので、バイタリティのある人だね、と思う。

 

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ところで、最近は全てのやる気を失ってしまい、料理ばかり作っている。

トマトを煮て、ナスを揚げ、玉ねぎをみじん切りにする日々。

基本は自分が食べたいものしか作らないのだけれども、それを夫に「美味しい」と言ってもらえるとすごく嬉しい。

共働きをしている頃は、家事をどれぐらい効率化できるか、効率化した時間でどれぐらい金を稼ぐか、資格を取るか、みたいなことに血道を上げていたのだけれども。

 

なんか、お金にならないこと頑張るのって意味あります? みたいな感じが、20代は結構強くあって、だからセックスとか家事とか、かなりバカにしてたんだけど、

夫にめちゃくちゃ愛をぶつける、みたいな、採算度外視の・・・というかもはや、損得で言えば圧倒的に損をしているだけの行動って、ものすごく気持ちがいい。

これってセックスとかもそうなんだけど。

変な話、セックス中の自分って、「これが金にならないのおかしいだろ」ってぐらいエロい・・・と思うんだけど、これは夫にだけ見せる顔だから価値があるわけじゃない。

 

なんかそういう・・・金にならないことをするよさ、みたいなものを、最近は考えている。

1年を振り返ってみたとき、「今年も頑張ったな」「これなら友人とかに会っても惨めな気分にならないな」って思えるのはきっと資格を取得したり、仕事を頑張ったりした自分のほうなんだろうけどね。

 

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あと、この話にはあんまり関係ないのだけれども、最近夫婦関係について考えていることとして、正しい夫婦関係ってあんまり存在しない、というのを結構「本当だな」と思ったりする。

 

たとえば、30を超えた、二人目を妊娠中の妻が、いつまで経っても10代みたいな恋愛をしたがるというのは、やっぱ客観的に見て狂ってるよな〜と思うのだけれども、

我が家ではこれは「良い」ってことになっている。

 

なんか「こういう恋人はやめておけ」とか「こういう行動はパートナーを思いやれていない」みたいなのあるじゃない。

たとえば、家事をしないとか、セックスが乱暴とか。

 

それで、付き合いたてのときは確かに「乱暴なセックスをしない」とか、そういう、客観的な行動によって、相手の内面を探っていく、みたいなところがあるんだろうなと思うんだけれども、

長いこと一緒にいると、なんていうのか……。

内面はすでに理解し尽くしているので、

たとえば殴るとか、レイプをするとか、本当にアウト、みたいな行動を取ることがあっても、

「この人は、私を傷つけようとしているわけではない」というふうに、わりとサッと理解できることがある。

 

一時的に、殴り殴られるとか、レイプしレイプされるみたいな、「間違った関係」に陥ることがあっても、そこで「あなたと一緒にいること自体が間違っている」という結論にならないで、「あなたとは一緒にいたいので、この行動が出た原因について考えよう」というふうな話ができるようになる。

表に出た行動が、相手の理解にあまり影響をしなくなることがあるということ。

 

私たちは世間的に見れば、全く理想的な親ではない。

でも、理想的かどうかはさておき、私と夫はお互いを「良い」と認め合っている、そのことに結構大きな価値があるよなと思う。

 

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そんなかんじ。