2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

誰かがもっと自分を分かりやすい形で迫害してくれればよかった

大学生のだらだらした日常を描く、みたいなアニメにイライラしてテレビを消したくなる。消したくなるだけで本当に消すわけではないなぜならリモコンが見当たらないからだ。こんなのばっかり馬鹿じゃないのかと言いかける。母親のつくるグズグズの煮物のにお…

あなたを勘定に加える

もうちょっと早く生まれてきたらよかったよねと閉子はいつも言っていた。閉子の膣はぐうっと硬くなってもう何も出し入れする隙間がない。そうだねと私は応えるけれども本当はだいすきなテレビ番組の続きのことのほうが大事だった。 閉子よりも大事なことがこ…

追悼はインスタ映えしない

でもそれでも私とミクノがこれから半年の間に和解できるとは、私は思わなかった。死が何かを解決してくれるということはない。あっとうてきなセンチメンタリズムを味方につけて滂沱の涙とともに謝罪や感謝を述べてはいけない。 そういうことを考えているうち…

【2000文字小説】子持ちの友人の家に遊びにいく

さきちゃんはじめまして。と言ったけどさきちゃんは無表情だった。ウーともアーとも言わない。予想と違う。そういえば姪っ子の百花ちゃんは1歳のときに初めて会ったしな。本当の本当の赤ちゃんって初めて見る。百花ちゃんはもう歩いてた頃だったのに、さきち…

【2000文字小説】いのちの電話がつながらないので死にたい

0570-783-556っていうのがいのちの電話の電話番号で、死にたくなったときはこの番号にかければよいと保健体育の教科書に書いてあった。でも全然つながらなかった。呼び出し音が鳴るだけ。130回ルルルルル、を数えたときに「この電話はおつなぎできませんでし…