200704・詩 | 先週は私が不誠実の身体

きみの魂を先週も救えなかったわたしは放蕩するロマンスの最中、

(きみがどれほど傷ついているかなんて本当にどうでもいい、1から10までの数字で教えてよ、7以上なら会社を休んであげるから)

君は泣き濡れる、私にはけして明かすことのない胸の内を見知らぬ日本の男に打ち明ける、「好きだ」と言う、セックスをする、誰かの吸ったタバコの匂いのことを君は覚えている、覚えていることのふてぶてしさを見て見ぬ振りする、ぶざまな下半身にほどかれた青い褥瘡めがけて宙を逸らした

私の頭の中で四六時中鳴っている音楽を君が聞いたら君は生きていけないよきっとね

見知らぬ女と男がマスクをせずに通りを歩く、Gott segne Sie、「死んでほしくてそう言うの?」弁償のできない傷をやわらげるための丸みを帯びた布切れが「信じられないくらい女々しい」、ぞっとするような量の綿毛が舞い飛んで湖の底に落ちていく

喉の奥から固まった空気をせり上げる、Ich würde nicht weinen, wenn Sie sterben、適当な文法だけを積み上げてあなたを攻撃することの愚かしさ、でたらめな発音のドイツ語、わたしは10年前もっと不真面目だった、あのとき死んでおけば良かった、5年前でも良かった、今の今は死にたくない

いつだって死にたくはなかった、ふりかえってみれば決断のときはいくらでもあって私には決断はできなかったそういうことの繰り返し、忘却と絶望、

生きていけばいくほど不誠実になる身体、薬を飲む、野菜を食べる、水を飲む、生きているだけで子宮が痛む、この国のリンゴは嘘みたいに小さいから昼食に向いている、吐き戻すための選択肢

わたしは平気じゃない、早くどこかに帰りたい、部屋の隅では肥え太った幼虫がひっそり息をすることをやめる

(汚い夏をようやく追い越し、でたらめな冬に目をつぶり、ようやくたどり着いた春にたくさんのリスが死ぬ、腐ったマットレスの上で死んでいく、それとまったくおんなじ原理で)

あなたのことをときどき愛おしく思う、それは決まってこういう土曜日で、月曜日はもうまっすぐ私のことを射抜こうとしている、黙ったままの眠気が悠長に視界を占有して、うしなわれたかつての井戸端会議に何度でも腹を立てる

そういう先週は私が不誠実の身体