【詩】この世界に何にも必要ないの、もう私は

修学旅行に置き忘れてきたみたいな雷鳴ばかりが鳴る

(女の子は頼り甲斐がなくて私が殴るとすぐに死ぬ)

あなたの名前は遠い日にもやっぱり同じ、どれほど好きかと語るあなたの青い目、コンタクトレンズ、遠い国に置いてきた私の子宮とそれを食い破ったポリープ

本当は私はもう赤ちゃんなんて作れないんだよ。知らないかな。興味ないかな。

自殺防止週間のポスター見たから自殺自殺自殺ってずっと考えてる、さっきからずっとそうだよ、重たいね私たち二人とも頭が、それはきょうが曇りだからじゃない? そうだよ

この世界にもしも私とあなたで二人きりになってもワンチャンすらないんだ泣けるね

生存本能ないからずっと寝てるね

歩いて。と私は言う、言った、君はぼうっと向こう岸にいる、分からない、あの日返してくれるはずだった私の帽子をずっと被っている、右足左足それから骨盤へ、通って痛みがすぐれない、ずれる、いななく、よろめく、お願いだからどこか遠くへ

(私たちに知覚のできない重力が私たちの命を規定する、コントロールのできないほうへ、流れると死ぬ、死なないで、と君が言うからね)

重たいね

愛してる愛してないと唱えたんだけど身長が低いから全部なしだよ 雑巾絞り切るみたいな春のにおいが今でも鼻腔の中でしわくちゃになってる

30歳になっても40歳になっても50歳になっても100歳になってもずっとずっとこのままどこにもいられないね、君はだって誰か知らない人と。零下で咲く紫の花を見ている、湖の凍る前日

この世界にもう何も必要ない 明日にへばりついた皮膚を切れ味のよい刃物ですっと切って見てみたいそのいかがわしい中身とうつろな明暗

生贄にして生き延びた日々が今さら私の価値を下げるから悲しいね 私に触らないで 私も触らないのに

お願いだから黙ってよ

正しく生きてきただけ