私は現在、週2〜5回の頻度で弁当を作っています。
弁当を食べるのは、私の息子(年中さん)。
息子が年少さんのとき、弁当つらい問題でメンタルが死にかけ、もはや息子を退園させるか? というレベルで真剣に「弁当作りたくなさ問題」を悩んでいました。
1年いろいろ試行錯誤してみて、自分なりに考案した「弁当が辛くなくなるルール」について、半分備忘録として書いておきます。
6500文字ぐらいあって長いです。気が向いたら分割して投稿しなおします。
(1)弁当には「100点満点」がある
まず前提として、弁当には「100点満点」が存在しますよね。
パッと見たときの見た目が綺麗
美味しい
おかずカップが可愛い
栄養バランスが良い
こういうのが100点弁当です。イメージするなら、インスタにアップされている弁当です。可愛いし、映えるし、そりゃあんなお弁当を作ってくれるお母さんいたら嬉しいよな、というようなお弁当。
SNSの弁当が「虚構」だということぐらい、私たちは理解しています。
でも同時に、そりゃ100点満点の弁当っつったら「インスタ弁当」だというのも分かっている。
そういうとき、100点が取れず、平均点以下かもしれない弁当しか作れない自分に劣等感を覚えることって、そんなに不思議なことではないと私は思います。
(2)弁当レース、審判は子供ではない
ここで考えるべきなのは、「誰が」弁当の得点をつけるかということ。
そもそも、お弁当って、半分ぐらいは子供のためではありませんよね。
子供の弁当を見る先生やママたちの目が怖いから頑張ってしまいませんか。
だって、子供のことだけ考えるなら、正直なところうちの子が一番好きなのは冷食のエビフライですよ。冷食のエビフライを弁当箱にぎっしり詰めておけば、彼は狂喜乱舞して食べるはず。
あとは、機能性(腹を満たし栄養を摂取する)だけ考えるなら、ウィダーやサプリでいいはずよね。
なんなら「欧米のお母さんはクラッカーと生のニンジンを持たせる」とかの知識だって当然ある。
でも私たち日本の母親はそういうことはしません。だって、常識を疑われるから、幼稚園の先生に。あと、小学校以降もずっと続く「母」グループから異端だと思われたくないし・・・。
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昔SNSで、幼稚園教諭のツイートに衝撃を受けたことがあるんですよ。
なぜ給食が週5ではないのか? という疑問に対して
「幼稚園的には全部給食にしても問題ないけれど、少しだけお弁当の日を入れることによって、おかずの中身をチェックし、その子の家庭の教育方針を見る」
みたいなことを書いていて・・・。
まあ、そうなんですよね。弁当は「親(というか、母親)のジャッジ」の場。そして、何をジャッジするかっていうと、これはまあ、有り体にいってしまえば、母親力です。
食事で愛を伝えてる? 子供の栄養考えてる? 食事が子供の健全な発達のためにどれほど重要か理解している? と。
「幼稚園の先生(=社会)から、女としての正しさを評価される場所」、それが弁当。
うっかり先生たちから「女失格」の烙印を押されるかもしれない、そういう焦燥感とともに、我々は弁当作りをやっているわけですよね。家族や恋人以外の人間から「女失格」の烙印を押されるかもしれない事態、これまでありました? 私はそんなにないです。されるたびに落ち込んでます。
だから、弁当作りはしんどいのではないかと思います。
(3)子供の弁当で「100点」を叩き出す方法
でも、大丈夫。ここで得点源になっているのは主に「子供への優しい眼差し」。
インスタ弁当はむしろここでは「間違い」。理由は、なんかチャラチャラしていて、親のエゴが見えるから(インスタ弁当を否定するわけではないけど、幼稚園の先生でキャラ弁に諸手を挙げて賛成している人あまり見たことない)。
なんなら、むしろ正当例は「茶色い弁当」だったりすることもあるわけですよ。思春期のキッズたちから蛇蝎の如く嫌われる、煮物fulな「茶色い弁当」・・・。
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まあ、それはいいんですけど・・・。
とにかく、この評価基準を念頭に弁当作りをすることで、弁当作りの得点稼ぎ方法はグンと楽になります。
これまであなたは、「みんな(具体的に誰なのかは不明)」が納得する弁当を作ろうとして苦しんでいませんでしたか。
何が正解か分からないのに、とにかく100点を取れ!! と責め立てられながら作る飯は不味い。そんなことをゲーテも言っていました(言っていません)。
「幼稚園の●●先生が見て納得できるような、愛情のこもった弁当」。これを目指せば良いのです。
指標が分かるだけで、結構弁当作りが楽になると思います。
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この指標のいいところは、「子供のリクエスト」を取り入れやすくなるし、取り入れたことによってむしろ「母の愛」を示しやすくなるところ。
幼稚園の先生に弁当のことでコメントをされたらすかさず、「うちの子、●●が好きで、お弁当に何が入っていて欲しい? と聞くと、いつも●●! って言うんですよ〜」と答えてください。
子供の好き嫌いをよく把握し、子供を愛している母親っぽい雰囲気が出ます。弁当とはそういうことです。内容の充実度よりも母の愛で入る加点のほうがデカい。
(4)弁当作りをいくらか楽にする小テクニック
さて、指標がわかれば弁当なんて、いかに効率よく100点を狙えるかの点取りゲームですよ。以下の項目では、効率よく100点を目指すためのいくつかの考え方をお伝えします。
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■弁当のセットは「主食、おかず二つ(野菜、タンパク質)」
画像検索で「お弁当」と調べると、ものすごい数のおかずが入ったキャラ弁が出てきて圧倒されますが、あの手のお弁当を作れるのは、お弁当に命をかけている人だけです。
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個人的には、幼稚園児の弁当程度であれば、「主食、おかず二つ」ぐらいが良いのかなと思います。手抜き感が見えづらく、かといってしんどすぎにもならないギリギリのラインかなと。
さらに、「主食、野菜、タンパク質」と、栄養学的役割が明確にしやすいことで、園の先生からの評価も上げられます。
おかずがたくさん入っていないと・・・と思うあまり、子供が食べもしないブロッコリーやプチトマトを入れ、残飯処理をするのはあまりにも辛い。おかずは二つにせねばならないと制限を課すことで、心の負担を削っていきましょう。
■2色を使う
お弁当の色味には
赤
黄色
緑
がありますが・・・。
おかず二つで、色味を3つ全て入れるのは難しい。なので、2色を使うことを意識しながら作ると、まあまあ己を許せる感じのお弁当が作れます。
たとえば、タンパク質系のおかずに枝豆(緑)とかまぼこの炒め物を入れたとしたら、
野菜系のおかずは、にんじん(赤)のキャロットラペ。
というような感じ。これであとはおにぎり作ればいい。おかずが一つ決まったら、もう一個のおかずの色味が自動的に絞られるので、結構楽にメニューが決められるようになります。
ちなみに、この感じを守った弁当が以下。正直やや色味に欠けますが、「お母さんが作ってくれたんだね」って感じはしますよね。(おかず三つ入ってるな、このお弁当・・・)
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ちなみに、一つのおかずの中に2色を入れるのは(たとえば、「ほうれん草とにんじんのナムルとか)、やめたほうが無難かもしれないです(子供が大好きである場合を除く)。
というのも、1おかずの中に色が2色入っていると、人間はこれを「2色」ではなく「明度が低いほうの色」で1色としてカウントしてしまう上、
色が混ざっているので「ちょっと汚い1色」として認識する。あんまりいいことがないです。
混ぜても支障が出ないのは白い具材(たまねぎ、エノキ、かまぼこetc)のみ。あとは基本的に混ざると色味が悪くなります。
あと、子供は具がいっぱい入ったおかずが基本的には嫌いなことが多いと思います(当社調べ、無根拠)。
■洗う鍋が一つだけになるようにする
これは自分の中の「制限」として設けるべきルール。
お弁当作りは、手をかけようと思えばどこまでも手をかけることができるため、むしろ、どうやって手抜きをしたら良いのか分からなくなりがち。
そこで「鍋は一つしか使わない」という制限を加えると、作れるメニューが絞られて楽になります。
たとえば、卵焼きを作ったら、野菜系のおかずは冷凍オクラにめんつゆ和えただけのやつ。とか、冷凍ブロッコリーにおかか和えたやつ。とか。あとは、昨日の夕食の残り。とか。
同じ「おかず二つ」でも、
卵焼きと冷凍オクラ(鍋一つ)
唐揚げと、キャベツ+ニンジンの炒め物(鍋二つ)
だと、どう考えても上のほうが「楽に作れる」はず。
「鍋一つ」の法則は、言い換えるなら、「頑張るおかずを一つだけにする」ということでもあります。
頑張ってないのに見栄えするおかずはたくさんあるので、そのあたりのレシピの開拓に心血を注ぎましょう。
■インスタをやめろ(過激派)
私は、インスタやピンタレストで人んちの弁当を見るのは、年に数回だけと決めています。
運動会
遠足
誕生日
あたりの、「お弁当を食べるとウキウキするイベント」のときは、ピッカピカで最高の弁当を作るためにいろいろ勉強をします。
今「勉強」という言葉を使いましたが、インスタは本当に、「勉強」だと思って能動的に情報を取りにいくときでないと、見ていて辛いのでやめたほうがいいと個人的には思っています。
たとえば、リムジンで誕生日を祝うインスタ女子の投稿は、普通に見ていると、様々な・・・感情・・・が惹起されしんどいですが、
「リムジンで誕生日を祝うインスタ女子のイラスト」を描くための参考資料として投稿を利用する場合、メンタルはそこまで傷つかないはず。
「ボーッとしてるときに飛び込んできた、よそんちのキラキラ情報」は、正直なところ攻撃魔法です。受けるダメージはおよそ0.5ぐらい。
大したことないなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あなたのマックス体力は100。
人間は普通に生きているだけでも、朝起きて夜になる頃には40ぐらいまで体力が下がるもんでしょ。
そんなときに、インスタで小さい小さいかすり傷を作りまくっていいのか。大丈夫なのか。積もり積もって死にはしないか。
ちなみに、日によってあなたの体調には状態異常がかかっており「インスタからの情報は全て3倍のダメージを受ける」なんてステータスだったりする日のあるはず(親友が結婚したり、友人が都内に一軒家を購入したりするとこの状態異常にかかりやすくなる)。
インスタで弁当画像を見るのは、特別な日の勉強のためと割り切るぐらいの覚悟が必要です。
■スライサーを買う
スライサー(野菜を千切りするための道具)を持っていない方、買いましょう。Amazonで500円〜3000円ぐらいです。私は1000円のものを使っています。
おろし金で大根おろしを作るぐらいの難易度・スピード感でニンジンの千切りができるようになり、きんぴらへの心理的ハードルが著しく下がります。
千切りの野菜が入っているメニューは「食育」「母の愛」加点が入りやすい感じがします(当社比、無根拠)。あと、シンナリしているので、お弁当に詰めやすいのもポイント。
コツは、手動のスライサーを買うこと。電動式のスライサーは購入しないほうが良いと思います。
電動式は
朝からデケえ音がする
コンセントを抜き差しするのが面倒
洗うのが面倒
使い方を理解するのに時間がかかる
ちょっと高いので、使いこなせなかったときに落ち込む
などのデメリットが、メリットを上回ってしまう・・・。
スライサーの他に買っておくと良いものは、
ぶんぶんチョッパー(炊き込みごはんやハンバーグ作るときに活躍する)
卵焼き用フライパン(卵焼きが映えて気分がいい)
あたりかな。
あとは、バターやマーガリンは買ってきた段階で、5グラムずつぐらいの大きさに切り分けておくと洗い物が減る。以下のURLが参考になります。
(5)もうこのレシピは作りましたか?
というわけで、本題。うちのレシピです。
■主食-おにぎり
幼稚園児の弁当、主食はおにぎりがベスト。これが私の結論です。
息子の幼稚園は、コロナ対策で昼食の時間が25分に。
すぐに食べ終われる
息子が好き
幼稚園からの印象が良い
この3点を全て満たすのはおにぎりかな〜と。
主食は他にもあるのだけれども、
普通にご飯を詰める場合:「スプーンですくう→食べる」みたいな動作に時間がかかって食べきれない。あと、詰められる量がおにぎりよりも増えるので、単純に食べている途中で飽きてしまう
パスタの場合:うちの息子はパスタをフォークで食べられない、まだ・・・。
パンの場合:作るのは圧倒的に楽。でも、パンを切らさないように購入し続けるのは結構心に負担がかかる。あと、ジャムとか挟むので、先生方の印象が悪そう(弁当点数が下がる)。
我が家の場合、海苔を巻いたチビチビおにぎりを3〜4個詰めるのが一番食います。
海苔が重要です。が、海苔高いんだよな〜。
ちなみに小さいおにぎりは、手で握ると絶対に失敗します。ラップで包んで作ると、手も汚れず、効率よく作れるのでおすすめ(こういうの、誰でも知ってるのかな・・・)。
ちなみに、おにぎりを振って作るプラスチックのツールとかもありますが、洗い物が増えるし、部品が小さくて洗っているとしんどくなるので早々に使わなくなりました。
■タンパク質は練り物がなぜか優勝しがち
タンパク質系は、
ウインナー
たまごやき
カマボコ
カニカマ
ちくわキュウリ
冷食のからあげ
冷食のハンバーグ
冷食のエビフライ
あたりかなあ。豆腐ハンバーグも食べてくれる+洗い物が楽なので好きなんだけど、これは水切りの作業で時間がとられるので微妙。
タンパク質系は、むしろシンプルに「火を通しただけ」とかのほうが食いつきがいいことが多いかなと思います。
ちなみに、カマボコ、ちくわとかの練り物は完食してもらいやすい。カマボコは高いのでどっちかっていうとちくわがいいのかな。
かまぼこは、炒め物にしてもわりと食べてくれることが多い。チクワは他の食材と一緒に炒めると、舌触りが嫌なのか残されること多しです。油とかも引かずに、ただただ焼いただけのやつを入れたほうが無難。あとはちくわきゅうりとか。
ちなみに、唐揚げやエビフライなどの揚げ物系は、自然解凍で食べられる冷凍食品がよいです。理由は、揚げちゃうと、「揚げ物後の油はね掃除」という家事が増えるから・・・。
■鉄板レシピは野菜おかずが鍵
さて、野菜おかず。ここがキモです。
というのも、弁当はおよそ3〜10個の「鉄板レシピ」をグルグル使い回すことが重要。
鉄板レシピは1年ぐらいひたすら試行錯誤しないと見つからないので、最初のうちはシンドいですが、このレシピが10個ぐらいたまると、弁当作りが完全に無心で出来るようになります。
鉄板レシピを作るまでが0→1で一番大変。
鉄板レシピを手に入れたあと、ちょこちょこ新しいレシピに挑戦するのは、1→2っていう感じで、あんまりしんどくない。楽です。
鉄板レシピになりうる条件は以下の五つ。
季節を問わずいつでも作れる(痛みやすい食材を使っていない)
子供の好物。体調などに関わりなく旺盛に食べる
作るのが簡単
見た目が良い
洗い物が少なくてすむ
タンパク質おかずはバリエーションに限度があるので、狙うべきは野菜系のおかず。ここでバリエーションを増やせれば、弁当作りは勝利したも同然。
お子さんの偏食ぐあいとの戦いにもなりますが、我が家の鉄板レシピは以下のような感じです。
キャロットラペ
にんじんしりしり
しめじを、砂糖+醤油+みりん入れて電子レンジでチンしたやつ
にんじんのグラッセ
なめたけ
冷凍おくらにめんつゆを和えたやつ
かぼちゃとコーンのサラダ
きんぴら
厳密にはキノコは野菜ではないが、おおむね野菜だろ! というザックリした気持ち。にんじんは安いし年中手に入るしレシピも豊富だしで、にんじんだけで結構ぐるぐる回せる最強レシピ。
にんじん嫌いなお子さんも、グラッセ、キャロットラペあたりの甘いレシピならいけるかも。色々試してみてください。
■野菜を食べない子供は炊き込みご飯にトライ
ちなみに、何をどう頑張っても野菜を食べない場合、野菜のおかずは諦めて、炊き込みご飯に野菜を入れる(海苔で隠す)+タンパク質系のおかずを二つ とかもアリかも。海苔で巻かれているとバレずに食べることがある。
この場合、タンパク質系は茶色くなるので、冷凍枝豆で色味を加えると良いです。
炊き込みご飯の良い点は、そのまま親の昼食に使えるところ。
(6)以上
こんな感じのことを考えながらお弁当作ってます。いや〜、結構大変なのよねえお弁当作り・・・。親が好きなメニューでも、子供は苦手だったりするし・・・。
良いメニューがあったらコメントやメールで教えてもらえると嬉しいです。鉄板メニューを増やしていきたいな。
ではまた。